E1 熊野山岳コース 18位
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若干、脚に乳酸の蓄積を感じつつ2日目。
苦手とは言いつつ、去年は粘りの走りでいいポジションで通過した千枚田。
今年はどうなることやら。

去年のように後半、ゴールまでの平坦部で勝負の分かれ目が来るならば
コスミックカーボンで、
苦手な登りを出来るだけ楽に行こうと思うとシャマルで。

監督やチームメイトの迷アドバイスで長々と悩む。
シャマルに決めたのは酔いも回った夜遅く。
暗い中、誰もいない駐車場でいそいそとタイヤ&チューブを入れ替えする姿は
物取り(泥棒)と疑われてもおかしくはない。

そして迎えたレース本番。
今日はスタートから前方で展開する。
早々からチーム員のOKD氏がアタックする。
追従し、2人がかりで逃げるのも面白いと思ったが
控えているのは千枚田。
一緒に行っても脚を引っ張るだけなので追走となる第2集団で静観する。

ほどな吸収され大集団のまま千枚田へ。
序盤からペースが速い。
今年は早くからアタックが掛かり、10数名の選手がグングン峠を登っていく。
そのアタックにはOKD氏、M川氏が乗っかる。
僕は当然無理なのでマイペースで登る。
下りで何人か拾って平坦の強いパックが作れたら
その集団で逃げを追っかけようと算段する。

KOMは早くもなく、遅くもない、いわゆる中途半端な順位で通過する。
「下りは任せておけ。俺のケツにつくと危険だぜぇ」なんて心に思いながら
単独で下りに入る。
去年オーバーランし、激突した急カーブは頭に入ってる。
しかし軟弱な下りはしない。アグレッシブに!

そしてその急カーブ。思いっきり倒しながらクリア。
無事通過した後、後ろのほうで数台激突する音が・・・(御愁傷様)
そして、もう一度キツイコーナーをクリアした所で
チーム員のM川氏が徐行中・・・。
「ハンドル曲がってしまいました!あとお願いしますっ!」
その声を聞いた後(そう聞こえた。決して見捨てた訳ではない)、
山肌に体当たりする音が聞こえた(南無・・・)

その後10人ほどのパックが出来上がり、
下りと平坦を全力でローテーションし、逃げを追いかける。
長い下りも脚を止める事が許されなかったので本当に辛かった。
なので着き位置に定着している数名を、後方に下がった際に
ローテーに加わるよう教育的指導する。
幸い平坦に強いそうな選手は数名いたおかげで
金山の交差点に着くまでには
逃げ集団を50m先ほどに捉える。

しかし何を勘違いしたか、
あまりのしんどさに脳内麻薬が回りすぎたのか、
前にいる集団を「プロツアーの千切れ集団」と勘違いしていた。
苦しさから逃れるため、脳が安易なほうへ思考をずらしていたか。
分かっていれば単独でも飛び出して合流していたはず。

なぜか勘違いしたまま、追うことをせず牽制状態のまま
金山の交差点を通過し、最終コーナーを曲がる。
ゴールは長い坂を登り切った先にある。
登りが想像以上に長いので慌てず、後方に待機する。
ゴールまで数100m。
案の定、早掛けする選手がいる。
慌てることなく捌いて、次の列車に乗り移る。
スパートする場所は決めてある。
分かってる選手はそこからスパートする。
しかし登り切っても意外なほどゴールが遠い。みんなタレるに違いない。
そう分析しながら登っていく。
そしてスパート。
前は3人。
登り切った。3人タレた。
ギアを3段カンカンカンッと上げる。ワンテンポ遅れて加速が始まる。

この時僕は第1集団であるとの認識(誤認)である。

ゴール前10mぐらいで全員抜く。
突然周辺の音が無音となる。(昔マスターズで優勝争いした時にも同じ状況になった。)
おそらく集中力全開すぎて、意識が肉体の殻を抜け出し、
意識体そのものとなったのだろう。
ちなみにこの状態の時はこの世のあらゆる苦痛から解放され・・・・・・。
こんな事書くと、あやしい宗教に入ってるとか、
あやしいセミナーに参加してると思われかねないが、
こういう意識体のみの状態はいわゆる臨死の時も同じで
訓練した人は任意でこの状況に入れる・・・・
興味ある人はまた個別でお話しましょう(笑)

そして僕は無音の中で自分に問いかけた。
「優勝する瞬間ってのは案外あっけないものなんだな・・・。」

時間的にはわずか1秒に満たないぐらいだと思うが、
とても長い時間浸ってたような気がする。
突然、周囲の音が耳に入ってきた。
僕は渾身のガッツポーズと雄叫びを揚げた。

その刹那、前にチームメイトのOKD氏の姿が。
そしてその向こうに談笑しながら走る集団が・・・・。
おやおや・・・・?考える事数10秒。
「あ・・・・、僕、第2集団やった・・・・。」

結果は18位だったのに
優勝者以上に優勝者っぽいパフォーマンスをしてしまった。
脳内麻薬でこれだけ幸せな気分になれるのに
本物の麻薬つかったらどんな幸せを味わえるんだろう。
抜け出せなくなる理由がわかるような気がする。
きっと毎日がイエロージャージなんだろうな。
って、僕の勘違いをあくまで脳内麻薬のせいにしてるが
そっとしといてあげて下さい。

夜はその優勝気分のまま、食えや飲めやの大宴会。
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約1名山肌に激突した選手もいるが、みんな無事に完走を果たした。
とにかく今日はお疲れさん、明日も頑張ろうという事で乾杯。

しかし連戦中だというのにこのチームは・・・(笑)

FIN