乗鞍が終わって早4日。
翌日からチャリ通してるが
なんだか身体が重い。
やっとシーズン上半期が終了したので
この機会に切れた気持ちと疲れた身体を
休めようと思う。
…とは言ったものの、他のチームの人のブログなど見てると乗り込んでる雰囲気…。
心中穏やかではありません。

さて、乗鞍はチャリ歴初。
E1の出場者は35人だったので
「これは大量得点獲得のチャンス!」と
思ってましたがかなり甘かったです。
どうやら僕を除く34人がヒルクライムが得意という人達だったようで…(^^;;
乗鞍に照準をあわせる選手もいる、いわば職人レースにおいて、おこがましくも完走点以上貰えた事は喜ばしき事なのかも知れない。

うちのチームにそのいわゆる職人がいる。
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宿で朝食を頂いたあと、再び布団に入って寝ている。
「むむっ、これが王者たる風格なのか」
プロ相手に凌ぎを削っていた実績ある彼の威風堂々とした姿に僕は驚きを隠せなかった。

そしてもう一人、頼もしい職人がいる。
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戦場の最前線にしてこの落ち着き払った行動。
ライバルはすでに後ろでアップ中。
「なるほど、あえて余裕を見せる事で疲れずしてライバルにプレッシャーを与えるのか!」

マルコム・グラッドウェルの「1万時間の法則」で説かれてるように
その道の匠には一朝一夕ではなれるものではなく、数々の修羅場をくぐり抜け、人一倍苦労を積み重ね…このくらいにしとこ(^^;;

その職人のレース、
普段この距離や時間をこなしたことがないので実際走ってみるとかなりフォーム崩れている。
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一時間以上、脚を停めることのないシチュエーションなので強い心肺機能の他に体幹もしっかり鍛えないと崩れたフォームでは動力伝達も怪しいものとなり結局疲労に疲労を重ねるだけのものとなりかねない。
今は「来年はない!」と考えているが
もし出場するならばこのあたりを考えてトレーニングしなくてはならない。

ゴール後、しばらくすると雨が降り出した。さらに霧と風も出てきた。
しかも風雨が強くなってきて、ちょっとした嵐になっている。
「自走下山はアルミホイール使用者のみ、他はバスにて下山」とのアナウンスがされている。
ところがそのバス、1時間半も待たなければならない。
そのうちカーボンホイール使用者も下山可能となった。
しかし天候荒れている。

待つも地獄、降りるも地獄。

僕は雨がザーザー降る中、1時間半じっと立ち尽くす事を選んだ。
ゴールラインを通過する人の「ゴールまで2時間かかったよぉT^T」とか言う言葉を覚せい剤にしながら、マジで身動きせず一箇所に立ち続けた。

このような状況の中、十分な防寒対策をしてないウェアで18kmの道のりを下るのは自殺行為だ。
低体温症というのをご存知だろうか?
自律的な体温調整ができなくなり、身体機能に様々な支障をきたし、最後は死に至る。一般的に直腸温度が35℃以下になると低体温症の領域に入り、33℃以下から意識に障害が出てくる。

「トムラウシ山遭難事故」は夏山で風雨にさらされたパーティが必死に下山を試みるも低体温症に陥り次々と倒れ、15人中8人が死亡するという夏山登山史上最悪の遭難事故。
道に迷ったとか怪我したとかではなく、判断ミスによるものだ。
遭難というと「道迷い」や「滑落」がイメージとして沸いてくるが、判断ミスを犯したままの行軍も立派な遭難となる。
今回のは気象遭難に分類されるものであり、せめて低体温症に陥るメカニズムさえ知っていれば最悪の事態は免れる。
まぁそういった事を踏まえた上で陥るのも遭難の特徴ですけどね。
下山中も何人かバスに救いを求めてる人達も所々で見た。またバスに搬入された後、乗客達の介抱により低体温症から回復できた人もいたと、そのバスに乗っていたチーム員から聞いた。
うちの職人も下山途中で力尽きたクチだ。そこで死の淵を覗いてきたらしい。
無事だったので笑い話になったが、
レース終了後で身体のカロリーが枯渇状態で体熱が確保できず、実はかなり危険な状態だったと思う。

待つのも地獄だったが、お迎えはなかった。

主催者側の判断で急遽、トラックで自転車を降ろす事となったため、戸惑うドライバーさんの代わりに参加者の自転車の積込みと積み降ろしを手伝う事で一緒にトラックで下山する事になった(^^)
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ドライバーさんは契約外の仕事だったうえ、自転車積んだことがないとの事だったので、見知らぬ者とは言え、たいぶお役に立てたのではないだろうか。

外伝をもっと書きたいがキリがないのでこのへんで。