勝利の女神は苦笑い。

この歳になると、レース中は我慢を強いられる事ばかりで若い時のように一息つく余裕はない。もちろん状況把握や状況判断に全霊を注いではいるが、それ以上に身体との対話にも同じように注意を注ぐ。読んで字のごとく、全身全霊である。
アタックに反応する度、染み出してくる乳酸。「おい大丈夫か、脚?回復できるか?もう一回いけるか?」
ずっとそんな事を考えている。
落ちてるチャンスなんて弱りつつある我が眼で見つけた時には既に若者がかっさらってる。
いわゆる勝利の女神が微笑んでたとしても完全に見過ごしてるだろう。
じゃあ、どうする?
眼に見えてるチャンスは3周回目と6周回目と9周回目、そして最終回に落ちている。
これは眼が弱ってようが身体が老いてようが変わらぬ事実。
ならば、もぎ取るまでよ!

長くなりましたが、そんな感じで身体に鞭打ち、全てのポイント周回にしつこく果敢に攻めて行きました。
E1のレースをみてると、脚の差もあるでしょうが、最終コーナーを5番手くらいでクリアすると勝負に絡めるような感じでした。
その位置でクリアしようと思えば、常に前のほうで走らなければなりません。
バックストレート半分過ぎてから急いで上がってくるようではコーナー抜けてからの脚が残っていません。それどころかオーバースピードでコーナーに突っ込みかねません。
なので我慢を要しますが集団を引き連れて走ることになります。
幸いな事に風が緩かったので負担は軽かったと思います。
そして最初のスプリント、コーナーを4番手でクリアして2着を獲りました。
2回目、7番手ぐらいでクリアして4着。
出来れば獲っておきたい3回目は5番手ぐらいで4着。そして最終回。
ドラマが生まれました。
最終周のジャンを聞きながら、コントロールラインを通過するや否や、チームキャプテンが前日に企てた作戦を実行すべく、先頭に上がっていく。
すかさず番手に付いて、先頭で最初のコーナーを抜ける。
ここからキャプテンの漢曳き。
細身のクライマー体型なのに、この時は背中がデカく感じました。
クランクをみると、インナーで回してるかのような回転力。軽量級の選手がその他大勢の平坦マンを差し置いて、チームメイトを牽引する姿なんざ、見ている人に勇気と感動を与えずして、なにを与えますか。
しかも誰もが前へ上がりたい最終のバックストレート。
僕も勇気と力と少しのプレッシャーを与えられました。
いつもレースで高負荷による胃痛が出るのですが今回はここで出ましたよ。
そして最終コーナー手前まで連れて行ってもらい、そこからガチ勝負です。
少し立ち上がりが遅れたものの、捲り上げて3着を獲りました。
3回目終了時点で3位タイだったのでゴールを獲れたのは大きかったです。
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いわゆる自己犠牲を払ったチームプレーでしたがその犠牲が無駄にならなくて良かったです。…というのが入賞の喜びに勝る本音です。
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自転車競技も長くやってますがこのようなドラマチックな勝ち方は初めてのことです。
この日の事は年老いて老人ホームに入った時の語り草の一つとなりました。
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今思えば、このレースを観るためだけに遥々駆けつけてくれたO本GMの笑顔が女神の微笑みだったのかもしれない。
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